
賃貸経営でいちばんの不安は、「もし家賃が入ってこなかったら?」という一点に尽きます。家賃保証会社は、その不安を小さくしてくれる存在です。ただし、どこに頼んでも同じではありません。各社の仕組みや運用ルールは意外なほど異なり、選び方ひとつで安心感も手間も大きく変わります。本記事では、仕組みの基礎からメリット・デメリット、実務に効く比較の視点までを、オーナー目線で丁寧に整理します。
家賃保証会社は、入居者が家賃を滞納したときに、オーナーに対して家賃を立て替える(代位弁済)サービスを提供します。従来は親族などが連帯保証人として責任を負うのが一般的でしたが、世帯構成や働き方の多様化により、個人でリスクを背負う仕組みは限界に近づいています。そこで、代位弁済、督促、強制退去など場合によっては法的手続きまでを、専門会社が標準化されたフローで担うモデルが主流になりつつあります。
オーナーにとっては入金の安定が得られ、入居者にとっては人間関係に頼らずに契約を進めやすくなる——これが家賃保証会社の価値の出発点です。

家賃保証会社の役割は、単に「立て替える」だけではありません。第一に、滞納発生から回収・立替・精算までのプロセスを仕組み化し、オーナーのキャッシュフローの乱れを最小化します。第二に、督促や分割交渉など心理的負担の大きい業務を専門化し、感情的な行き違いを防ぎます。第三に、滞納件数や回収率、督促ステータスといった実務データが記録されるため、オーナーは「どこで管理が滞りやすいのか」を可視化し、募集条件や賃料改定などの経営判断に反映できます。
この“安定・専門化・可視化”の三点が、家賃保証会社の実務的な価値です。
家賃は単なる売上ではなく、ローン返済・税金・修繕費など、次の支払いの“起点”です。たとえ1件の遅延でも資金繰りに波及し、修繕やリフォームのタイミングを逃すことがあります。また、雇用や家族形態が多様化し、高齢化する社会のなか、連帯保証人の確保は年々難しくなっています。さらに、督促や明渡しといった対応は専門性が求められ、オーナー個人で抱えるには負担が重い領域です。
プロの保証・回収の仕組みを取り入れることで、日々の運用が軽くなり、経営判断のスピードも上がります。
毎月の家賃収納の段階から保証会社が関与し、入金管理と早期の未納検知を同時に行います。未納を見つけ次第、会社側の標準フローで督促が始まり、必要に応じて立替や分割協議へ進みます。戸数が多い、入金照合作業を内製化したくない、資金繰りの見通しをより確実にしたい——こうした賃貸経営に相性が良い方式です。
毎月の入金照合は管理会社(またはオーナー)が行い、滞納が判明した時点で保証会社に報告して、条件を満たせば立替が実行されます。自社で入金管理の型が整っている、各案件のコントロールを残したい、といったニーズに合います。
どちらが優れているかではなく、自分の体制・物件特性・求めるスピード感に合うかで選ぶのが正解です。

家賃保証会社の最大のメリットは、キャッシュフローが守られることです。滞納時も立替によって着金が担保され、入居者への督促や分割合意といった負担も専門会社に委ねられます。受け入れの間口が広がり、法人契約や社宅代行、高齢者・外国籍といった多様な入居者に対応しやすくなるのも利点です。また、保証会社による一定の厳しい入居審査が行われるため、滞納のリスクをより抑制することが出来ます。
一方で、初回保証料・更新料・月額料などの費用負担が入居者に生じます。また、多くの会社は「◯日までに報告」「所定フォーム・添付必須」といった運用ルールを定めており、ここを外すと保証の対象外になることがあります。会社ごとに立替条件やスピード、保証範囲は異なるため、安さだけで選ぶと期待どおりに機能しないことがあります。

オーナー側のメリットは、第一に入金の安定、第二に心理的負担の軽減です。督促という難易度の高いコミュニケーションをプロに委ねることで、クレームや感情的な対立の芽を早い段階で摘むことができます。
滞納でも税務上は売上の対象になるため、キャッシュが入ってこないのに税金支払いの対象になります。それを事前に防ぐことが出来ます。
一方のデメリット・注意点は、保証会社の倒産リスクです。保証会社が倒産すると、一時的に保証会社が預かっている家賃も回収できない恐れもあります。管理会社と連携しどの保証会社を利用しているかを確認することも大切です。
入居者側のメリットは、連帯保証人がいなくても契約を進めやすくなる点にあります。家族や知人に負担をかけず、専門会社が窓口となるため、支払いに関する相談や分割合意も制度として整っています。
一方デメリットは、初回保証料、月額保証料、年更新料などの費用負担が発生することです。

着金は月1回か半月1回か。立替後の精算タイミングや、振込遅延時の取り扱いまで確認すると、資金繰りの読み違いが減ります。
何日遅れで立替に入るのか、最大何か月まで立替が続くのか。起算日が「支払期日の翌日」なのか「保証会社の受理日」なのかで、結果は大きく変わります。
家賃以外の共益費・駐車場代・遅延損害金に加え、明渡し訴訟費用や原状回復費、残置物撤去の扱いまで会社ごとに差があります。特約や違約金の取り扱いも必ず確認しましょう。
最初の連絡までのスピード、SMS・電話・書面・訪問の順序、夜間・休日対応の可否は、回収の体感スピードを左右します。標準フローの透明性も要チェックです。
法人契約や社宅代行、高齢者・外国籍・短期就労などの受け入れ可否、難しいケースでの代替案(預り金や緊急連絡先の追加など)が用意されているか。募集力に直結します。
「いつまでに」「何で(ポータル・メール・書面)」「何を(通話記録・SMSのスクリーンショット・入金履歴など)」提出するか。日々の運用に無理なく乗るかどうかが、最終判断の分かれ目です。書面や提案では優秀に見えても、実際に運用すると期待どおりに動かない会社は少なくありません。“相性”の見極めが肝心です。
時系列の暗記より、考え方の“型”を持つほうが実務では強いものです。まず、早めに一報を入れること。確定を待たず「滞納の可能性」の段階でも受け付ける会社が多く、その後の正式手続きがスムーズになります。次に、やり取りを記録に残すこと。連絡の時刻・手段・要点を簡潔にメモし、SMSやメールのスクリーンショットを保存しておけば、差し戻しや認識齟齬を防げます。最後に、所定の様式で提出すること。各社の“お作法”に合わせるだけで処理速度が変わり、結果として立替までの時間が短くなります。
善意で待つことが報告の遅れにつながり、保証の取りこぼしを招く——現場で起きるトラブルの多くは、ここから始まります。型を決めておくことが、最大のリスクヘッジです。

家賃保証会社は、賃貸経営の安心を支える強い味方です。仕組みを理解し、メリットとデメリットを把握したうえで、比較の6項目で中身を見極め、日々の運用に無理なく乗るかを確かめる。さらに、トラブル時には早めの一報・記録・所定様式という型で臨む——これだけで、滞納リスクは小さく、管理負担は軽くなります。
自主管理されているオーナーは、仲介会社の取引のある保証会社が使えるのか、個人でも保証会社との取次が可能なのか、難しい場合は保証会社と付き合いのある管理会社に委託することをお勧めします。
株式会社フィナンシアジャパンでは、札幌市・北広島市・江別市・小樽市・千歳市・恵庭市エリアの不動産オーナー様に向けて、賃貸管理(PM)から資産管理(AM)までを一気通貫で支援しています。担当者1人あたり200戸までの少数精鋭体制により、きめ細かな対応と経営目線での最適化を実現。遠方オーナー様にも安心のオンライン対応など、状況報告体制を整えています。
「保証会社の選定を見直したい」「滞納時の運用の型を整えたい」という方は、どうぞ私たちにお任せください。オーナー様の“次の一手”を、一緒に設計します。
株式会社フィナンシアジャパン 代表:鎌田 恵美
宅地建物取引士/公認不動産コンサルティングマスター/管理業務主任者ほか
札幌市で不動産管理・賃貸経営支援を行う不動産コンサルタント。複数の国家資格を活かし、空室対策や相続物件の活用、賃貸経営の効率化など、オーナーの立場に立った実務支援を行っている。