札幌で不動産を相続すると、「手続き」「方針」「実行」を同時に迫られがちです。まずは相続登記や税の確認など“期限があるもの”を押さえ、保有・賃貸・売却のどれが最適かを整理してから動くのが近道。本記事では、判断の順番と売却の進め方を分かりやすくまとめます。
この記事でわかること
- 相続直後にやるべき“順番”
- 不動産を「保有/賃貸/売却」どれで判断するか
- 相続登記・相続税など“期限があるもの”の要点
- 売却の流れと、不動産会社選びで失敗しない見方
- 費用の見積もりをブレさせないチェックリスト
まず決める:相続した不動産は「保有/賃貸/売却」どれが得策?
そのまま保有する(将来の選択肢を残す)
「すぐに結論を出せない」「親族の意向が割れている」場合は、急いで売却に進むより、最低限の管理体制だけ整えて“保留”する選択もあります。
ただし空き家・空室の放置は、固定費や劣化で資産価値に響きやすいので、管理の“責任者”を決めるのが先です。
賃貸に回す(長期の収益化)
賃貸に回すなら、募集条件・修繕・冬季対応(凍結・除雪)まで含めた運用設計が必要です。
「管理は任せたい」「遠方オーナー」なら、管理会社の体制確認(緊急時対応・報告頻度)が重要になります。
売却する(分配をシンプルにする)
相続人が複数で現金分配にしたいときは売却がシンプルです。
ただし不動産は「名義」「合意」「税」「売却戦略」が絡むので、手続きの順番を外すと時間が伸びます。
3分で結論:保有/賃貸/売却の判断フローチャート
STEP1:共有者の合意が取れていますか?
- Yes → STEP2へ
- No → 先に「合意形成(分配方法・優先順位・期限)」を決めるのが最優先
STEP2:現金化の必要性は高いですか?
- Yes(納税・分配・生活資金など) → 売却優先
- No → STEP3へ
STEP3:物件の状態はどうですか?
- 修繕が大きい/空き家で劣化が進みそう → 売却(現状 or 手直し)を比較
- 状態が良い/賃貸に回せそう → STEP4へ
STEP4:運用(管理・緊急対応)を回せますか?
- 遠方・多忙で難しい → 賃貸なら「管理会社前提」、売却も含めて比較
- 対応可能 → 賃貸も売却も選択肢(収支と手間で決める)
STEP5:期限がある手続きは押さえていますか?
相続手続きの全体像:売却を視野に入れるならここがポイント
① 相続人・遺言書の確認 → ② 共有者の合意形成
売却するには、基本的に相続人間で方針を揃える必要があります。遺言書がある場合は、その内容が優先されることが多いため、最初に確認します。
③ 相続登記は「3年以内」が原則(義務化)
相続登記の申請義務化について、期限や過料の考え方がQ&A等で示されています。(出典:法務省:相続登記の申請義務化に関するQ&A)
④ 相続税は「10か月以内」に申告(該当する場合)
相続税がかかるかどうかの基本(基礎控除の考え方等)は国税庁が整理しています。(出典:国税庁:No.4102 相続税がかかる場合(基礎控除))
売却を決めたら:札幌の不動産売却フロー(迷わない順番)
① 相場感を掴む:まず「取引価格」から見る
売出価格(募集価格)ではなく、実際の取引価格を起点にするとブレが減ります。国交省の「不動産情報ライブラリ」では取引価格情報の検索ができます。(出典:不動産情報ライブラリ:不動産価格(取引価格))
② 査定は“根拠”を見る(机上→訪問の順が無難)
査定額だけ比較すると危険です。見るべきは次の3点です。
- 近隣事例(取引・成約・募集の比較)
- マイナス要因(修繕履歴、境界、残置物、冬季の動線など)
- 売り方(いつ・誰に・どの媒体で)
③ 媒介契約(一般/専任/専属)を選ぶ
「情報を広く出して反響を取る」のか、「窓口を一本化して売り切る」のかで選択が変わります。
※報告頻度・広告の出し方・価格変更ルールなど、運用面は契約前に明文化しておくと安心です。
④ 販売活動 → 条件調整 → 売買契約 → 決済・引渡し
札幌は積雪で内覧の印象が変わりやすいので、見せ方(写真・動線)と時期の組み立てで差が出ます。
相続→売却で詰まりがちな「必要書類」チェックリスト
相続関係(“誰が相続するか”を固める)
- 戸籍一式(被相続人・相続人確認)
- 遺言書(ある場合)
- 遺産分割協議書(合意が必要な場合)
- 相続人の印鑑証明書・本人確認書類
物件関係(“何を売るか”を正確にする)
- 登記事項証明書(登記簿)
- 固定資産税納税通知書(評価・税の把握に便利)
- 測量図・境界確認書(ある場合)
- 修繕履歴・リフォーム資料(ある場合)
売却関係(“どう売るか”で必要になる)
- マンション:管理規約・重要事項関係(管理組合資料)
- 賃貸中:賃貸借契約書・家賃条件・敷金等の状況
- 残置物:撤去の範囲メモ、写真(見積りに直結)
※個別事情で必要書類は増減します。まずは「揃っていないもの」を把握できるだけでも、スケジュールが短くなります。
売却タイプ別:札幌の“相続不動産”はこう戦略が変わる
空き家(空室)の売却:最優先は「現地の整え方」
- 残置物→清掃→写真→募集コメントの順で整える
- 雪の季節は外観・駐車・導線が伝わりにくいので、写真と説明で補う
- 「現状売り」と「最低限整えて売る」を、費用と成約速度で比較する
賃貸中(オーナーチェンジ):見せるべきは“家賃と条件”
- 表面利回りだけでなく、賃貸借条件・修繕履歴・入居状況が重要
- 収益物件としての買い手に刺さる資料(契約・収支)を揃える
築古・修繕不安:売り方は「3択」で比較する
- ①現状のまま売る
- ②最低限の手直しで売る(印象・安全性・致命傷の回避)
- ③解体して売る(更地としての需要が強い場合)
→ “どれが得か”は、売却価格だけでなく、期間・手間・リスク込みで判断
共有(相続人が複数):最大のボトルネックは「合意形成」
- 売却の賛否だけでなく、分配方法・期限・代表窓口を決める
- 会社選びも「説明のわかりやすさ」「合意形成のサポート慣れ」が効く
相続人が道外:意思決定の遅れがコストになる
- 現地確認を“報告で代替”できる体制(写真・定期報告・緊急対応)を作る
- 売却なら、進捗共有(内覧→反響→価格調整)を短い周期で回す
不動産会社選び:相続案件の売却で失敗しないチェックポイント
「相続×売却」を扱い慣れているか
相続は共有・合意・書類・期限が絡むため、段取りに慣れているかが重要です(司法書士や税理士との連携含む)。
査定の説明が“数字と言葉”でセットになっているか
良い会社ほど、
- 価格レンジ(強気/標準/早期)
- 根拠(事例・状態・戦略)
- 想定スケジュール(反響→内覧→申込)
をセットで提示します。
仲介手数料・費用の見積りがクリアか
宅地建物取引業者の報酬(仲介手数料)の上限等は、国交省告示等で示されています。(出典:国土交通省:宅地建物取引業者の報酬(PDF))
費用見積もりで漏れやすいチェックリスト(相続→売却)
売却前に発生しやすい費用
- 測量・境界確認
- 解体(必要な場合)
- 残置物撤去・片付け
- 修繕(見栄え/安全性)
売却時に発生しやすい費用
よくあるご質問(FAQ)
Q1. 相続登記をしていないのですが、売却はできますか?
A. 実務上は、名義が故人のままだと決済・引渡しで止まりやすいです。相続登記の義務化・期限・過料の考え方が示されています。(出典:法務省:相続登記の申請義務化に関するQ&A)
Q2. 相続税がかかるか不安です。何から確認すべき?
A. まずは基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人)を押さえると判断が進みます。詳細は税理士に相談しながら進めましょう。(出典:国税庁:No.4102 相続税がかかる場合(基礎控除))
Q3. 査定額が会社ごとに違いすぎます。どれを信じれば?
A. 金額だけでなく「根拠(事例)」「売り方(戦略)」「想定期間(反響計画)」で比較してください。取引価格情報を起点にすると、ブレが減ります。(出典:不動産情報ライブラリ:不動産価格(取引価格))
まとめ:札幌の相続不動産は「手続き→方針→実行」を一直線にする
相続不動産は、感情・親族関係・期限・費用が同時に来ます。だからこそ、
- 期限があるもの(相続登記・相続税の要否)を先に整理し、(出典:法務省:相続登記の義務化(特設)・国税庁:No.4102 相続税がかかる場合)
- 保有/賃貸/売却を決め、
- 売却なら 相場→査定→媒介→販売 の順で進めると、最短で迷いません。(出典:不動産情報ライブラリ:不動産価格(取引価格))
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まずは「現状の資料(登記・相続関係・募集条件・写真)」の整理からでも大丈夫です。
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参考・出典(URL一覧)
【執筆者プロフィール】
株式会社フィナンシアジャパン 代表:鎌田 恵美
宅地建物取引士/公認不動産コンサルティングマスター/管理業務主任者ほか
札幌市で不動産管理・賃貸経営支援を行う不動産コンサルタント。複数の国家資格を活かし、空室対策や相続物件の活用、賃貸経営の効率化など、オーナーの立場に立った実務支援を行っている。
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