
不動産投資は「物件を買ったら終わり」ではありません。むしろ、契約書に印鑑を押したその瞬間から、本当の「経営」がスタートします。
しかし、本業の日々の忙しさに追われ、気づけば管理会社からの連絡は「修繕費の請求」や「退去連絡」の時だけ……。そんな「任せきり」の状態になってはいませんか?
多くのオーナー様が、購入時の利回りシミュレーションには熱心でも、購入後は「家賃さえ毎月入ってくれば問題ない」と考えがちです。しかし、実はその「無関心」こそが、将来の資産価値(売却益)をじわじわと損なう最大のリスク要因かもしれません。
本記事では、札幌・近郊エリアで数多くのオーナー様と資産形成に取り組んできた株式会社フィナンシアジャパンの視点から、物件の収益力を最大化するための「オーナーと管理会社の理想的な関係性」について解説します。
管理会社を単なる「管理業者」ではなく、ビジネスを共に成長させる「最強のパートナー」に変えるための、具体的な関わり方と心構えをお伝えします。

「不動産投資=不労所得」という言葉のイメージからか、「手間をかけないこと」が正解だと思われがちです。確かに、日々の清掃やクレーム対応をオーナー様自身が行う必要はありません。それが管理会社の仕事だからです。
しかし、「経営判断」まで放棄してしまうのは非常にもったいないことです。
実態として、積極的に物件に関心を持ち、管理会社と定期的にコミュニケーションを取っているオーナー様は、全体の1割、あるいは数パーセント程度しかいらっしゃいません。9割以上のオーナー様は、物件を「金融商品」のように扱い、現場には無関心になりがちです。
ですが、不動産は株や債券と異なり、「経営者の手腕(関与)」によってパフォーマンスが大きく変わる事業です。 「家賃が入ればOK」と割り切るのではなく、「どうすればもっと入居者に喜ばれるか?」「どうすれば経費を抑えつつ価値を維持できるか?」と考えるプロセスこそが、賃貸経営の本来の楽しさであり、利益の源泉なのです。

「管理会社に任せているから大丈夫だろう」 そう思われるかもしれませんが、オーナー様の関与度合いによって、物件の「寿命」と「稼ぐ力」には明確な差が生まれます。
管理会社はプロですが、担当者は人間です。多くの物件を担当する中で、どうしても「優先順位」が生まれます。
担当者が巡回に行った際、「あそこの電球が切れかかっているな」と気づいたとします。その時、脳裏にオーナーの顔が浮かび、「Bさんに報告してすぐに交換しよう(喜んでもらおう)」と自然と体が動くのはどちらでしょうか? オーナー様が物件に愛着を持つことは、現場で働く人間の意識を変え、結果として清掃の質やトラブル対応のスピード感=「物件の維持管理レベル」を底上げするのです。
これからの賃貸経営に必要なのは、単に家賃を集めてクレームを処理する「PM(プロパティ・マネジメント)」の視点だけではありません。 資産全体の価値をどう高め、最終的な出口(売却)でいかに利益を最大化するかという「AM(アセット・マネジメント)」の視点です。
「今の家賃設定は市場相場に対して適正か?」「この修繕は将来の売却査定にプラスになるか?」 こうした戦略的な判断は、現場の担当者任せにするのではなく、オーナー様自身が意思決定に関わる必要があります。
最も避けるべきは、管理会社を「面倒な仕事を押し付ける下請け業者」と見なすことです。 「お金がかかる時だけ連絡してくるな」という態度のオーナー様に対し、担当者が親身な提案(家賃アップのためのリノベーション案など)を持ってくることはまずありません。
逆に、「一緒にこの物件を良くしていきましょう」というスタンスで接してくれるオーナー様に対しては、管理会社も「この人のために頑張ろう」という心理(返報性の原理)が働きます。管理会社は、あなたのビジネスを成功させるための「共同経営者(パートナー)」なのです。

では、具体的に何をすれば良いのでしょうか? 「毎日電話をする」必要も、「毎月現地に行く」必要もありません。忙しいビジネスパーソンでも実践できる、効果的な「3つの関与」をご紹介します。
毎月の送金明細を確認するだけでなく、年に一度(確定申告の時期など)は管理会社と「年間の収支(PL)」を振り返る時間を設けましょう。
これらを数字で見ながら、「今年は空室が少なくて助かりました」「あの時の修繕対応は早くて良かったですね」といった感想を伝えるだけでも、担当者との信頼関係はぐっと深まります。 数字を通じた振り返りは、管理会社を「監視」するためではありません。お互いに現状を正しく把握し、次の1年をより良くするための「健康診断」として活用しましょう。
可能であれば半年に一度くらいは現地を訪れてみてください。目的は「粗探し」ではなく「変化を楽しむ」ことです。 「エントランスの掲示板が綺麗に整理されていますね」「植栽が元気ですね」と、管理会社の良い仕事を見つけて褒めるために行きます。
遠方にお住まいの場合は、詳細な「写真付き定期報告」をリクエストするのも有効です。写真を通じて「オーナーが見てくれている」という事実は、現場に適度な緊張感とモチベーションを与えます。
給湯器の故障や退去時の原状回復工事など、お金が出ていく場面でこそ、オーナーの手腕が問われます。 単に「高いから安くして」と渋るのではなく、「投資会議」と捉えてみましょう。
このように「費用対効果(ROI)」を一緒に議論する姿勢を見せれば、管理会社からも前向きな提案が出やすくなります。

管理会社との付き合い方一つで、担当者の能力は120%発揮されることもあれば、半分も発揮されないこともあります。
「管理はプロなんだから、全部任せるよ(何でもいいよ)」 一見、信頼しているように聞こえますが、これは担当者からすると「無関心」と受け取られかねません。また、責任を全て押し付けられているようなプレッシャーも感じます。
理想的なのは、「私はこうしたいと考えているが、プロとしての意見はどうですか?」と相談し、最終的にオーナーが承認するスタイルです。 「頼られている」という感覚が、担当者のプロ意識を強く刺激します。
担当者との面談やメールでは、過去のミスを追及するのではなく、未来に向けた「ワクワクする質問」を投げかけてみてください。
こうした質問は、担当者に「市場調査」や「企画」のスイッチを入れさせます。結果として、あなたの物件は単なる管理対象から、「戦略的なプロジェクト」へと昇華するのです。

私たちフィナンシアジャパンが実際にサポートさせていただいた事例をご紹介します。
遠方にお住いのアパートオーナー様(60代)の事例です。 当初は空室が目立ち、家賃を下げなければ入居が決まらない状況に悩んでいました。しかし、オーナー様から「単に安く貸すのではなく、若い人に選ばれるような価値ある物件に再生したい」という熱いご相談をいただきました。
そこで私たちは、オーナー様と綿密な打ち合わせを重ね、周辺の競合物件を徹底的にリサーチ。高額なリノベーションではなく、共用部の照明器具変更やアクセントクロスの採用など、コストを抑えつつ視覚効果の高い改善案を共同で策定しました。
結果、家賃を相場より2,000円アップしたにも関わらず、募集開始からわずか3ヶ月で満室に。オーナー様の「物件を良くしたい」という熱意が私たちの原動力となり、結果として収益性の向上(資産価値アップ)に繋がった好例です。
正直に申し上げますと、このように積極的に関与されるオーナー様は、全体の1割未満しかいらっしゃいません。
しかし、だからこそチャンスがあります。多くのオーナー様が受け身である中で、あなたが一歩踏み出し「一緒に経営しましょう」と声をかけるだけで、管理会社にとっては「替えのきかない特別なパートナー(VIP)」になれるのです。 この「上位数%」に入ることは、難しいスキルではなく、ほんの少しのマインドセットの変化で誰にでも可能です。

賃貸経営は、孤独な作業ではありません。 管理会社という最強のパートナーとビジョンを共有し、手を取り合うことで、収益も、資産価値も、そして経営の楽しさも最大化することができます。
まずは次回の連絡の際、事務的な要件だけでなく「いつもありがとうございます。最近の物件の様子はどうですか?」と一言添えるところから始めてみてはいかがでしょうか。その小さな関与が、あなたの資産を守る大きな一歩になるはずです。
「今の管理会社とは、あまり密な連携が取れていない…」 「担当者が忙しそうで、提案がほとんど来ない…」
もしそうお感じなら、それは担当者の能力不足ではなく、「構造的な問題」かもしれません。一般的な管理会社では、担当者1人が何百戸もの物件を抱え、日々の業務を回すだけで手一杯というケースが少なくないからです。
株式会社フィナンシアジャパンでは、札幌市・北広島市・江別市・小樽市・千歳市・恵庭市エリアの不動産オーナー様向けに、単なる「賃貸管理(PM)」にとどまらず、将来の収益最大化を見据えた「資産管理(AM)」までをワンストップで提供しています。
「今の管理体制で本当に資産価値を守れるのか?」 まずは無料相談で、貴方の物件のポテンシャルを診断してみませんか?私たちは、あなたと共に歩む「共同経営者」としてお待ちしています。
株式会社フィナンシアジャパン 代表:鎌田 恵美
宅地建物取引士/公認不動産コンサルティングマスター/管理業務主任者ほか
札幌市で不動産管理・賃貸経営支援を行う不動産コンサルタント。複数の国家資格を活かし、空室対策や相続物件の活用、賃貸経営の効率化など、オーナーの立場に立った実務支援を行っている。